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孤独死が増える!? 専門業者が教える夏の遺品整理
2020-09-22

七夕も過ぎ、いよいよ夏が近づいてきました。
夏は何でも傷みやすい季節ですね。梅雨が明けないうちは特にものがカビたり腐ったりしやすい時季です。
この季節は、遺品整理業者へのお問い合わせが増えるシーズンでもあります。孤独死された方などは、梅雨どきや夏に発見が遅れると、とても悲惨な状態になってしまいます。

また、梅雨でものが腐ったり、暑さで臭いがきつくなったりするので、ごみ屋敷の清掃・片付けの依頼も増えてきます。
本格的な夏が来る前に、少しでも周りにあるモノを片付けておこうと考える人も多いことでしょう。
今回は、夏の遺品整理について、注意したいポイントをお話したいと思います。

ケース別:夏の孤独死とは?

真夏の孤独死は、遺体の腐敗の速さから、周りに甚大な影響を及ぼすケースが少なくありません。
腐臭、ハエやゴキブリ、ダニなど害虫の繁殖、体液などが染み出すことによる室内の汚染など……賃貸物件では、周囲の入居者が全員退去するまでに至った事例もあります。

  • 室内での孤独死
  • 若い世代の孤独死
  • 引きこもりの孤独死

室内での孤独死

1人暮らしのAさん(男性・75歳)は、夏風邪をひいて体調を崩していました。食欲も出ず、きちんと食事をとっていませんでした。しかし、暑い時季だからと、水分不足にならないよう努めてお茶を飲むようにしていました。
年配の方によくあることですが、Aさんもクーラー嫌い。冷房を入れず、蒸し暑い室内で過ごしています。

その日、Aさんは寝る前にのどの乾きを感じましたが、夜中にトイレに起きたくないので、我慢して寝てしまいました。すると、夜中に吐き気で目が覚め、しかし身体が動かず、亡くなってしまったのです。原因は熱中症でした。
体調を崩して食欲もなく、体力がない状態で、水分もあまりとっていない。その上、暑いのに冷房を入れない。これらは熱中症を引き起こす大きな要因となります。

若い世代の孤独死

孤独死の危険があるのは、高齢者だけではありません。20代、30代の若い世代にもその危険性はあるのです。
東京都監察医務院によると、東京23区内で2013年に発生した若い世代の孤独死は、20代男女で94人、30代男女で152人と報告されています。

Bさん(33歳・女性)は、フリーのウェブデザイナーです。
在宅で仕事をしているBさんは、繁忙期は買い物などにもろくに出ず、睡眠時間も削って仕事をしていました。体力が低下し、ストレスも溜まっており、何日か前から動悸やめまいを感じていましたが、納期が迫っているため無理をして作業を続けたのです。
こうして突然の心臓発作で倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。

会社勤めなら、無断欠勤すれば上司や同僚が気づいてくれます。また、倒れる前に不調に気づいてもらえる場合もあるでしょう。
しかし、在宅仕事で近所付き合いも薄いと、なかなか気がついてもらえません。失業中で家にいた人が突然死し、何カ月も発見されなかった例もあります。
また、非正規雇用やフリーターの場合、職場に出て来なくても放置されるケースが多いのではないでしょうか。

夏は、特に体調を崩しやすい季節です。食事や睡眠に気をつけ、定期的に健康診断を受けるなど、日々のメンテナンスを怠らないようにしたいものです。

引きこもりの孤独死

昨年、内閣府は15~39歳の「引きこもり」の人が全国で推計54万1000人に上るとの調査結果を公表しました。しかし、自治体によっては40代が最も多いというデータもあり、引きこもりは長期化する傾向です。
引きこもりの人は、他人に対して強い恐怖心を持っていることが多いようです。
親御さんが健在なうちはいいのですが、親御さんが亡くなって1人になった途端に生活に困ることになります。

 

最後のセーフティーネットとして生活保護がありますが、何年も家から出ずにいたため、生活保護の申請に行くことも、ケースワーカーと付き合っていくこともできない人が多いようです。
こうして、散らかり放題の家の中で孤独死していく状況になってしまうわけです。
引きこもりは、深刻な社会問題になっています。今後、引きこもったまま年齢を重ねてしまった人の孤独死は、増えていくのではないでしょうか。

孤独死を防ぐには?

未婚の人が増え、「おひとりさま」が増え続けている今、孤独死を100%防ぐことは難しいかもしれません。しかし、なるべくそうならないように、普段から気をつけておいてほしいポイントがあります。
夏に孤独死して悲惨な姿にならないためにも、ぜひ知っておいてください。

  • 日々、健康管理を怠らない
  • タクシー会社の番号や「#7119」を携帯電話に登録しておく
  • 近所に顔見知りを作っておく

日々、健康管理を怠らない

まず大事なのは、日々の健康管理です。特に体調を崩しやすい夏は、以下のことに気をつけるとよいでしょう。

食事や睡眠に気をつけ、「免疫力」を高める

規則正しい生活を心がけましょう。消化の良い食事をとり、寝具や室温、照明の明るさなど、快適な環境で良い睡眠をとりましょう。免疫力が高まり、病気にかかりにくくなります。

大病のサインを見逃さない

動悸やめまい、発熱など身体の変調に気をつけましょう。また、こまめに体重を測っておくと役に立ちます。さらに、日々、便の状態を見るようにしましょう。
体重が減り続けていたり、下痢や便秘を繰り返したりする場合、ガンなど重度の病気にかかっている場合があります。異常を感じたら、すぐに病院へ。

定期的に健康診断を行う

自分は健康だと思っていても、知らないうちに病気にかかっていることがあります。特にガンなどは定期検診を受け、早期発見することが大切です。
在宅で働いている人、非正規雇用の人、求職中の人は、会社での健康診断を受けられないため、特に気をつけましょう。居住地の自治体で行なっている無料検診には必ず行きたいものです。

かかりつけ医をもつ

かかりつけの医師をもち、すぐ相談できる環境を作りましょう。長期にわたってみてもらうことで、重篤な病気の早期発見にもつながります。

タクシー会社の番号や「#7119」を携帯電話に登録しておく

携帯電話に地元のタクシー会社の番号を登録し、緊急時対応について事前に連絡を取っておきましょう。
#7119(東京消防庁救急相談センター)も登録しておくとよいでしょう。24時間対応してくれ、救急車を呼ぶべきかどうかや、応急手当ての方法、医療機関も教えてくれます。

近所に顔見知りを作っておく

孤独死してしまう人は、ご近所付き合いが薄く、近隣に顔見知りがいない人が大半を占めます。最近は、引っ越しをしても近隣にあいさつ回りをすることも少なくなっていますね。しかし、こういった状態が孤独死を招くのです。

外で顔を合わせたらあいさつをする程度の近所付き合いはしておきましょう。もし孤独死しても、2~3日以内に発見してもらえる人間関係と環境を普段から作っておくことが大切です。
60代、70代になってからではなく、若いうちに対策をとっておくべきでしょう。

夏の遺品整理、注意すべきポイントは?

夏といえば、怖いのが熱中症ですね。実は、熱中症は、夏だけでなく、身体がまだ暑さに慣れない梅雨明けの時期にも起こりやすいのです。
暑い季節に行なう遺品整理は、他の時季よりも樹労働となります。熱中症の症状が重いと、命にかかわるケースも。
この時季、ご自分で遺品整理をされるかたは、正しい知識で熱中症を予防しましょう。

  • こんな人・こんな時、気をつけよう
  • 熱中症の予防ポイント
  • 冬の場合は?

こんな人・こんな時、気をつけよう

肥満傾向の人、体力のない人、持久力の低い人、暑さに慣れていない人

肥満傾向のある人は、熱中症にかかりやすいようです。皮下脂肪が多いと身体の中にこもった熱を逃がしにくくなります。また、重い身体を動かすと、多くの熱が発生します。
この2つが重なり、熱中症を発症しやすくなるわけです。
体力や持久力の低い人は暑さに弱いため、注意が必要です。

体調の悪い時

  • 寝不足の時
  • 疲れが溜まっている時
  • 二日酔いや下痢で体内の水分が減っている時

このような時は、身体が普段通りに体温を調節しにくくなるため、熱中症を起こす危険性が高くなります。

持病のある人

糖尿病や高血圧、心疾患、腎不全、精神神経系の疾患、広範囲の皮膚疾患のある人は、熱中症を発生しやすいので、注意が必要です。

熱中症の予防ポイント

遺品整理は家の中を片付ける仕事なので、涼しい部屋で作業しているイメージがあるかも知れませんね。
でも、実際には、エアコンは使いませんし、扇風機などは作業の邪魔になるため置きません。そんななかで、3人から5人もの大人が作業をするわけですから、真夏の現場は非常に暑く、ほとんどサウナ状態となります。
そこで、遺品整理業者が夏の作業で気をつけているポイントをお教えします。

こまめに休憩をとる

夏場は暑さで体調を崩しやすいので、長時間の作業はリスクが高くなります。
そこで、短時間で集中して作業をするようにしましょう。公共のプールや海水浴場でも、休憩時間をとりますよね。
1時間やったら15分休むといった形で休憩を入れるようにします。
ただでさえ、暑くて作業がいやになりやすいので、モチベーションを保つためにも有効です。

水分と塩分をとる

作業中は、思っている以上に汗をかき、体内の水分が失われていきます。脱水症状を防ぐため、こまめに水分を補給しましょう。
ただし、お茶には利尿作用があるので、水分補給には適しません。また、大量の水を一度に飲むと、体内の電解質バランスを崩し、かえって体調不良を引き起こしてしまうので注意しましょう。

大量に汗をかいたのに、発汗量に見合った量の水を飲めない「自発的脱水」という現象があります。
身体をめぐる血液には、約0.9%のナトリウムが含まれています。大量に汗をかいてナトリウムが失われた状態で水だけを飲むと、血中のナトリウム濃度が薄まってしまいます。
そこで、これ以上ナトリウム濃度を下げないために、水を飲もうという気持ちにならなくなり、脱水症状を起こします。これが「自発的脱水」という症状です。

また、水を飲み過ぎると、身体は余分な水分を尿として排出します。すると、適切な体液の量を回復できなくなり、体温が上昇して熱中症の原因となるのです。
私たちは、塩分の補給のため、塩分を含んだ飴を現場に持って行くようにしています。これで、作業をしながらでも手軽に塩分を補給できるわけです。

糖分もとる

日本体育協会では、熱中症予防の水分補給として、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml)と糖質を含んだ飲料を推奨しています。
特に1時間以上運動をする時は4~8%の糖質を含んだものを摂取すると良いようです。

糖分は、腸管での水分吸収を促進します。主要な糖であるブドウ糖は、ナトリウムを同時にとることによって、腸管内で速やかに吸収されます。さらに、水分も吸収されやすくなるのです。
水分・塩分・糖分をとるには、冷えたイオン飲料や経口補水液の利用が手軽です。
もし、そのような飲料が手元になければ、1リットルの水に、ティースプーン半分の食塩(約2g)、砂糖を好みに応じて溶かして作ることもできますよ。

冬の場合は?

夏と並び、冬も孤独死の件数が増える季節。
冬に気をつけていただきたいのは、高血圧の方。最も多いのは「ヒートショック」による死亡です。

「ヒートショック」は、急激な温度の変化による肉体的ショック症状のこと。血圧が乱高下し、指針、ひどい場合には心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。
暖かい部屋からトイレや廊下などの寒い所に出た時や、浴室で衣類を脱いで冷気に晒された時に起きやすくなります。軽い失神だけで済んでも、浴室で滑って頭を打つなどの危険も伴います。
ヒートショックによる死亡は、高齢者の25%にものぼると言われています。

また、高血圧の人がトイレで強くいきんだ際に血管が切れ、脳梗塞などで意識を失ってしまうこともよくあります。
高血圧の方にとって、冬のトイレやお風呂はまさに鬼門。トイレや脱衣所に小型ヒーターを置くなど対策をしたいものです。

夏は無理をしないように・・・

もうすぐ夏本番ということで、夏の遺品整理についてご説明しました。昔と違い、現代の夏はまさに「酷暑」そのものです。
ちょっとした片付け程度でも、思ったよりも体力を消耗します。けっして無理をしないことが大切です。
また、1人暮らしのかたは、老いも若きも、少しでも孤独死のリスクを低くするため、今の生活を振り返ってみることも必要かもしれません。

 

 

 

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