総務省の「情報通信白書」によると、2018年における個人の年齢階層別インターネット利用率は、13歳~59歳までの年齢層で93.0%、60代で76.6%、70代で51.0%と高い割合となっています。
しかも、すべての年代において前年に比べて数字が高くなり、特に70代ではこの1年で5割を超えるなど、高齢者におけるインターネット利用率が高くなっているようです。
また、50代以降の年代においてSNS利用率は前年を上回っており、全体では60%の人が利用。
60代で38.6%、70代でも23.6%の人が何らかの情報を発信しています。
このような状況の中、持ち主が亡くなると、デジタル機器やその中にあるデータは「デジタル遺品」として遺族に残ることになります。
これに伴い、遺品整理業界には「デジタル遺品の整理」に特化した新しいサービスが出てきているのをご存じでしょうか。
今回は、この「デジタル遺品整理サービス」について見ていきましょう。
デジタル遺品とは?
デジタル遺品とは、亡くなった人のスマホやパソコン、デジカメなどのデジタル機器内や、インターネット上にある登録情報などのことをいいます。
インターネットの普及によって、さまざまな情報をパソコンやスマホで管理する人が増えているため、デジタル遺品の種類も多岐にわたります。
画像や動画、文章などのデータ
スマホやパソコン、デジカメのメモリーなどの中にある写真や動画など個人的に集めたデータや、自分で書いた日記や文章などはデジタル遺品の一つです。
故人のデジタル機器を引き継いだ家族が、ハードディスクに残っているデータを消去しないまま売却したり捨てたりすると、データが盗まれ、思いもかけないトラブルとなるリスクがあります。
外付けハードディスクやUSBなどデジタルデータのメモリー機器の中にあるデータも同様です。
メールアドレスなどの連絡先
スマホなどのデジタル機器に連絡先を入れている場合、自分の情報のみならず、取引先や友人の個人情報まで流出してしまう恐れがあります。
SNSやブログでのID・パスワード
ブログやツイッター、インスタグラムなどSNSでのIDやパスワードもデジタル遺品です。
SNSを放置していると、なりすましなどで悪意のある噂を流されて家族にまで被害が及ぶ可能性があります。
もし万が一のことがあった場合、SNSを停止したくても、IDやパスワードがわからないと、家族が困ることになります。
動画、音楽、ゲームなどの有料アカウント
インターネット上で動画や音楽のダウンロードサイト、ゲームなどを登録していた場合、アカウントがわからないと削除することができません。
アカウントを放置していると乗っ取られ、知らない間に有料のアイテムを購入されてしまう事態になりかねません。
ネット銀行・FXなどの口座番号
ネット銀行に口座を持っている場合、セキュリティ上、家族にも簡単には情報を開示してもらえません。
さらに、口座番号やパスワードなどがわからない場合、資産の確認もできません。
すると、スムーズに遺産相続を進めることができなくなってしまいます。
また、故人が生前、家族に知らせずにネットで金融取引をしていた場合、知らないところで莫大な損失を出して、家族に借金がのしかかってくるケースも考えられます。
デジタル機器には、故人にとって他人や家族に見られたくない情報があったり、また、遺族が遺産相続をする際に必要な情報も入っていたりします。
しかし、本人がどのようなものを持っているのか伝えないまま亡くなってしまうと、見られたくない情報を消去することはできません。
また、パスワードやIDがわからなければ、遺族が遺産状況を把握することもできません。
デジタル遺品には、このような問題をはらんでいるのです。
「デジタル遺品整理」とは?
デジタル遺品整理の中身は?
現代では、スマホやパソコンなどデジタル機器や、インターネットなしには考えられないような状況になっています。
このような中、デジタル遺品の処分は大きな課題になりつつあります。
しかし、その重要性に関わらず、個人で全てを適切に処分できる人はまだ少ないと言わざるを得ません。
デジタル遺品整理サービスとは、故人や遺族がデータによって困らないように、生前、あるいは死後にデジタル遺品の整理を行うサービスです。
たとえば、
- 故人が他人に見られたくないデータを物理的に破壊する
- 遺族からの依頼でスマホやパソコンのパスワードロックを解除する
- インターネット口座の有無を調査する
- 機器からのデータ抽出・削除
など、さまざまなサービスを行っています。
デジタル遺品サービスの今後は?
まだ新しいサービスであるデジタル遺品整理ですが、今後、需要は拡大していくと考えられます。
デジタルツールの拡大
繰り返しになりますが、総務省の「情報通信白書」では、スマホの個人所有率は各世代で年々増えています。
さらに、SNSの広がりなどからも、スマホをはじめとするデジタルツールの活用は、ますます拡大していくでしょう。
今後、遺品のうち、デジタル遺品の占める割合は増加していくと考えられ、デジタル遺品整理サービスの需要も増加すると考えられます。
スマホの財布化
他には、近年、急速に進んでいるスマホの財布化も理由の一つに挙げられるでしょう。
諸外国のキャッシュレス化推進を背景に、東京オリンピックを控えた日本では国をあげてのキャッシュレス化の動きが高まっています。
また、コロナの影響もあり、直接触る現金でなく、スマホでタッチする電子マネーを利用する人も増えています。
この流れから、スマホによる決済サービスも増えており、高齢者にもスマホの財布化は進んでいます。
今後は、直接的な資産だけでなく、電子マネーの取引履歴や自動引き落とし契約といった情報もスマートフォンの中で完結するようになります。
このような状況において、持ち主の死後にパスワードがわからずスマホが開けないと、残された家族は大変困ることになります。
キャリアやメーカーに頼れない
現時点では、故人のスマホをキャリアやメーカーに持ち込んでも、契約解除はもちろん、パスコードのロック解除も行なってもらえません。
スマホのキャリア各社は、規則に応じて通信契約の解除や承継は行ってくれますが、端末の中のデータに関してはノータッチなのです。
スマホメーカーもロック解除については原則応じてくれません。
今後、高齢者のデジタルツール活用の拡大が予想されるにも関わらず、これらのツールをデジタル遺品として整理する受け皿がないということです。
そのため、今後もデジタル遺品整理サービスは需要が増えていくと考えられます。
デジタル遺品整理サービス利用の際の注意点は?
近年、デジタル遺品整理サービスを行う業者は増えています。
しかし、まだ歴史の浅い業界だけに、玉石混淆です。
残念ながら知識が少なく、依頼に応えられない業者や、不可能なことを「できる」と言って法外な金額を要求するような業者も見受けられます。
そこで、業者を選ぶ際の注意点について見ていきましょう。
嘘を言わない
もし、業者から「故人のFXが大きな負債になっている」とか「スマホのロックは絶対に開けられる」というようなことを言われたら、警戒した方がよいでしょう。
このような場合、情報源の開示を要求しましょう。
実績がある
まずは、その業者に対する相談件数や対応件数を確認しましょう。
この場合、デジタル遺品整理に関してだけでなく、データ復旧や機器の修理サポートなどの実績も確認するのがお勧めです。
それによって、その業者がどのくらいデジタルデータに関する技術や知識を持っているか推量することができます。
ホームページや相談で実績がわからなかったり、具体的な情報を提示しない業者には気をつけましょう。
法的な質問にきちんと答えられる
デジタル遺品関連のサービスを行うには、当然ながら相続に関する法的な知識が必要です。
依頼の際、該当のデジタル機器の所有権が誰にあるか確認しない業者に要注意です。
遺産分割協議前の段階では、故人のデジタル機器は法定相続人全員の共有財産となっているケースが多いため、きちんとした業者であれば、ここを確認しないまま進めることはありません。
まとめ
まだ新しい業種であるデジタル遺品整理。
まずは、エンディングノートなどに将来デジタル遺品となるものを一覧にしておくのがお勧めです。
業者に依頼する場合は、デジタルの専門以外にも、遺品整理業者に相談するのもよいでしょう。
近年、デジタル遺品整理の需要が高まるにつれ、遺品整理業者でもこの分野に乗り出しています。
また、その業者がデジタル遺品整理を行っていない場合でも、提携の業者を紹介してもらえることもあります。
迷ったら、遺品整理業者に相談してみましょう。
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