形見とは、亡くなった人や別れた人が残した品や遺品のことです。
遺品の中でも、特に故人が愛用していたもの、愛用していた時計やアクセサリーや手帳など、故人を思い出すような品を形見といいます。
形見も遺品も、故人の持っていたもののことをいいますが、形見と遺品、また形見分けと遺品整理には、どのような違いがあるのでしょうか。
遺品・遺産・形見とは?
故人が残したものは、大きく「遺品」「遺産」「形見」に分けられます。
それぞれについて見ていきましょう。
遺品とは?
遺品とは、故人が使っていたものや所有していたもの全ての総称です。
その中でも、客観的に見て金銭的価値の高くないもの全般が遺品とされています。
具体的には、家具・家電などの家財道具や、衣類・靴・バッグ・眼鏡など日用品、趣味に使っていた道具、写真・手紙・日記など、故人の思い出の品などが該当します。
遺産とは?
遺産とは、故人が遺した財産・資産のことで、金銭価値・市場価値のあるものをさします。
遺産は、価値のあるもの(プラスの財産)だけでなく、借金やローンなどの負債(マイナスの財産)もすべて含まれます。
プラスの遺産とは、土地・建物などの不動産、現金・預貯金、有価証券・ゴルフ会員権、自動車・船・航空券など、また、骨董品・貴金属・美術品などのコレクションや動産などです。
また、マイナスの財産とは、借金、未払いの債務(ローン)、税金、損害賠償金などが該当します。
形見とは?
形見とは、遺品の中でも、故人が生前よく身につけていたり、日常的に使っていたもの、大切にしていたもののことです。
たとえば、愛用していた時計やアクセサリーなど、他人が見ても故人を思い出すような品が形見と考えればよいでしょう。
近年、故人の愛用品だけでなく、遺髪や、ペンダントやダイヤモンドに加工した遺骨も形見というようです。
最近では、なんと、故人のDNAを形見として残すサービスも出現しています。
このサービスは、仮想前に故人のDNAを口内粘膜などから採取して鑑定を行い、鑑定結果を記載したDNA法科学鑑定証とともにフォトスタンドに入れるというものです。
近年、DNAを用いたテクノロジーの開発が急速に進んでいます。
今後はハイテクを駆使した新時代の「形見」がもっと増えていくかもしれませんね。
遺品整理と形見分けと遺品整理の違いとは?
では、遺品整理と形見分けの違いについて見ていきましょう。
遺品整理とは
故人の遺したすべての品物(遺品)を、残すものと処分するものに仕分けることです。
相続に関する書類や貴重品などを除き、不用品は売却したり処分したりします。
遺品整理を始める時期は、特に決まっていません。
葬儀が終わっても、四十九日までは亡くなった方の魂が家にいると考えられるため、四十九日の法要後に遺品整理を始めるケースが多いようです。
気持ちの整理がつかない、故人の部屋をそのままにしておきたい、という気持ちから、何年もそのままにしておく遺族もあります。
ただし、故人が賃貸物件に住んでいた場合は、契約の問題や家賃の問題から、遺品整理を急がなくてはなりません。
形見分けとは
形見分けとは、故人の遺した品物を、親族や親しい友人・知人などに贈ることです。
昔は、丈を直せば誰でも着ることができる着物が代表的な形見分けの品物とされていました。
これは、人が肌にまとっていたものには魂が宿るという日本人の思想からきているといわれています。
現代では、着物以外にも、故人が身につけていたもの、愛用していたものが形見分けの対象になります。
とは言っても、何でもいいわけではなく、故人の愛用品を通して思い出を分かち合えるようなものが適しています。
形見を受け取った人が形見を通して故人との思い出を偲ぶことは、故人の供養にもつながります。
自分の愛用品を大切な人が引き継ぎ、使うことを、故人はきっと喜んでくれることでしょう。
形見分けの仕方は?
では、形見分けの仕方について見ていきましょう。
形見分けのタイミングは?
形見分けは、いつ行えばよいのでしょうか。
必ずこの日でなければならないと決まっているわけではありませんが、多くの場合、最後の忌日が過ぎた忌明けに行うことが多いようです。
仏教では、最後の忌日法要である四十九日法要を終えた後。
神道では「三十日祭」もしくは「五十日祭」と呼ばれる霊祭のときに形見分けを行うのが一般的です。
キリスト教の場合は形見分けの習慣がないため、特にいつ、という決まりはありません。
しかし、追悼ミサの場で行われることが多く、特に30日目の追悼ミサが選ばれているようです。
形見は誰に贈る?
形見分けは、故人の近親者やゆかりの深い知人・友人などに贈ります。
形見分けは、いつでも故人をしのぶことができるように行うものです。
そのため、故人に対してそのような気持ちを持っている人に贈りましょう。
ただし、本来は、故人から見て目上の人に形見の品を贈るのは失礼とされてきました。
しかし、現代においては、社会的地位や、年齢に左右されない風潮が強まり、故人と親しかった人なであれば、誰にでも贈れるような空気になりつつあります。
とはいっても、相手がどう思うかはわかりません。
目上の人には、こちらから贈るのではなく、相手からどうしても分けてほしいと望まれた場合のみにしておきましょう。
形見分けは、必ずしなくてはならないの?
形見分けは、日本で古くから行われている習慣です。
法律で決まっているわけではなく、必ずしなければならないわけではありません。
ですが、高齢の親族や、古くからのしきたりを大切にする人の中には、きちんと形見分けを行うことに重きを置く人もいます。
また、故人を思う日本古来の風習を守るという面でも、できるならば行うとよいでしょう。
形見分けで気をつけることは?
実際に形見分けを行う際に注意すべきポイントを知っておきましょう。
贈る品の選び方は?
何を形見分けの品とするかは特に決まりはなく、故人が愛用していた思い出深い品であれば、なんでも構いません。
一般的には、故人が身につけていた衣類や時計、眼鏡、指輪やネックレスなどのアクセサリー類、バッグのほか、書籍や文房具などが形見と適しています。
贈る相手の好みも考えて、相手に喜ばれそうなものを選びましょう。
汚れを落としておく
衣類はクリーニングしてから贈りましょう。
眼鏡やアクセサリー類など身につける機会が多いものは汚れていることがあります。
事前に汚れを落としておきましょう。
動作確認をする
時計や万年筆などメンテナンスが必要な品物を贈る場合は、特に注意が必要です。
電池やインクを入れ、正常に使用できるか確認しておきます。
壊れているものは避けた方がベターですが、受け取り側にとって強い思い入れのあるものである場合のみ、壊れたり破れたりしている品を贈ってもよいでしょう。
リメイクする
好みやサイズが合わない品物はリメイクして贈ることもあります。
衣服や着物などを小物やアクセサリーなどにリメイクしたり、指輪などのサイズを変更したりなど、日常的に使えるものにリメイクすると喜ばれます。
避けるべきものは?
ペットなど受け取った人が困るものは、事前に約束をしていない限り、避けましょう。
また、現金や金券、有価証券や、高価な宝石や貴金属、骨董品・美術品など、市場価値の高い品物は、形見として贈ることができません。
これらのものを贈ると財産分与に見なされ、贈与税がかかってしまうことがあります。
また、贈られた側が負担に感じる場合や金銭トラブルに発展する可能性も考えられるため、注意が必要です。
包装しない
形見の品はプレゼントではありません。そのため、包装はせず、そのまま渡すのがマナーといわれています。
どうしても気になる場合は、半紙で軽く包んで渡すとよいでしょう。
形見分けは、本来は手渡しで行うものですが、相手が遠方に住んでいて直接渡すのが難しい場合は、郵送しても大丈夫です。
ただ、その場合は無言で送りつけるのではなく、必ず手紙を添えましょう。
業者を通じて形見分けを行う方法
近年、多くの遺品整理業者では、遺品整理の際に形見分けの配送サービスも行うところが増えています。
持ち帰ることが困難なものや、渡したい人が複数の場所にいて自分で送るのは手間、などといった場合に利用できます。
業者によって、遺品整理のプランに形見の配送が含まれている場合や、遺品のサイズや重さ、距離によって料金が異なる場合などさまざまです。
このサービスを使えば、梱包はもちろん、面倒な配送の手配や運び出しまで全て行えます。
ご希望の方は遺品整理の依頼時にご相談下さい。
まとめ
故人と親しかった人々と、思い出を共有するために行う形見分け。
形見分けは美しい日本の風習であり、大切なことです。
しかし、トラブルの原因になることもあります。
高価すぎるものを贈るのは不公平を生み、贈与税の対象にもなりかねません。
故人を偲ぶという本来の目的から外れてしまわないよう、贈る相手のことを考えて贈りましょう。
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